ソチ五輪のフィギュアスケート男子で日本初の金メダルを獲得した羽生(はにゅう)結弦(ゆづる)選手(19)(ANA)が、読売新聞の単独インタビューに応じ、被災地への思いを語った。
メダルを取って、震災で傷ついた日本にプレゼントしたい。
そんな思いで臨んだソチ五輪でした。
でも、実際に優勝したら、無力感に襲われました。
金メダルも、復興の直接の手助けにならないって感じたからです。
練習拠点を、生まれ育った仙台からカナダに移してまで目指した金メダルですが、「被災した故郷を離れて本当に良かったのか」との思いも起きました。
3年前のあの時、ぼくは仙台のリンクで練習中でした。
氷が波打ち、立っていられないほどの揺れ。
「このまま死んでしまうのか」と恐ろしく、泣きながら逃げ出しました。あの時の光景は今でも頭の中でフラッシュバックします。涙が止まらなくなって、夜もうなされます。
競技をやめようと思ったこともありましたが、翌12年の世界選手権で、たくさんの応援をもらって銅メダルを獲得して気付きました。
被災した人たちを勇気づけたいと思って滑っていたけど、実は自分のほうが支えられていたということに。
五輪も同じです。応援に背中を押してもらいました。
金メダルは自分だけではなく、応援してくれたみんなで取ったと思っています。
金メダリストとして、すべきことも見えてきました。
「被災地のことを忘れないでほしい」という思いを伝えるために、これからも滑り続けるつもりです。
わたくし達は忘れません