誰もが存在は知っているし、大体どんなところなのかということも分かっている。
しかし、大多数の一般人にとっては一生足を踏み入れる機会はないであろう、現代のミステリースポット・刑務所。
一般社会から完全に隔離された世界であるだけに、中で受刑者たちがどんな生活を送っているのか多くの人の興味をそそるのだろうが、花輪和一の『刑務所の中』(青林工芸舎)や、安部譲二の『塀の中の懲りない面々』(新風舎)など、刑務所内の様子を描いた作品からは数多くのヒット作が生まれている。
実はボク、出所中の田代まさし(また入っちゃいましたが)と仲良くさせてもらっていたもんで、「今ごろどうしてるのかな......?」と、ムショ内でのマーシーの生活に思いをはせるべく、最近この手の刑務所作品をたくさん読んでいるのだが、その中でもこの『囚人バカノート』(扶桑社)は異彩を放っていた。
いわゆる刑務所を舞台としたフィクションや、実録モノといった類の本ではないのだが、ある意味、もっとリアルで生々しい受刑者たちの実態に迫れる一冊なのだ。
テレビもある程度見られる、雑誌や新聞を読むことも可能と、外界からの情報をインプットすることはわりとできるものの、ブログやTwitterなどのインターネットはもちろん不可、話す相手も限られていて、出せる手紙も月に4通までと、アウトプットの手段は極端に制限されている受刑者たち。
そんな彼らが自らの脳内に渦巻くさまざまな思いを自由にぶつけられるのは自分用のノートだけ!
普通だったら書いた本人しか読むことがないであろう刑務所内で使用されたノートたちを、どういうルートで入手したんだか、大量に集めて、ツッコミがいのある部分ばかりをピックアップして肉筆のまま掲載してしまったのがこの『囚人バカノート』だ。
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ノートの内容は日々の出来事を記録した日記や、思いついたことのメモなどが中心となっているのだが、書いてる場所が刑務所&書いている人は受刑者というザ・非日常コンボによって、ただの日記やメモが爆発的な面白さを放ち出している。
『刑務所での会話と言えば、犯罪手口公開と犯罪武勇伝がメインです。(中略)「二度と刑務所には来たくない」という人は居るけど、「二度と悪い事はしない」と言っている人は、あまり居ないね』
「受刑者人気ナンバー1は田代まさし!?」これが本当の"刑務所の中"『囚人バカノート』
まだ服役中でしたね
3年6ヵ月
来年の今頃が出所でしょうか
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