「『半グレ』なるものが暴力団に取って代わるという見方は、われわれはしていない。
一過性のものにすぎないのではないか」
警視庁幹部はこう語る。「半グレ」は「半分グレている」の略語で、既存の暴力団ではないが暴力的な犯罪を行う集団を意味する。
六本木襲撃事件で逮捕された暴走族「関東連合」のOBグループに象徴される。
改正暴力団対策法や暴力団排除条例の影響で、暴力団が表だった活動を控える代わりに台頭してきたとの見方もあるが、OBには現役の暴力団員も少なくない。
ただ、既存の「組」への忠誠心は必ずしも強いとはいえず、「場面ごとに堅気と暴力団の顔を使い分けている」(捜査関係者)。
暴力団という既存の「悪」と、持ちつ持たれつの関係を保ちつつ、仲間の存在感を拡大させようとする意識にこそ、彼らの「闇」の深さがうかがえる。
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そもそも関東連合のメンバーは、都内でも世田谷区や杉並区など比較的裕福な家庭が多く、教育熱心な地域で少年時代を過ごしている。
貧困や差別など、生い立ちを理由に暴力団に足を踏み入れる必然性は低い。
見立真一容疑者(33)が統率するのは昭和50年代生まれが中心の50人程度。
多くが飲食業や不動産業などの正業を持つ。
彼らの上の世代が渋谷や六本木などでクラブを経営し、若者向けのイベントを企画。
遊び場をビジネスの場に変えた。
こうした手法を引き継いだ現在のグループには、芸能界とのパイプもある。
市川海老蔵さん暴行事件の現場に同席していた元リーダー、石元太一容疑者(31)の著書『不良録』では、過去に対立グループとの抗争で一般男性を暴行死させた事件で、芸能関係者の車を使用したことを打ち明けている。
IT関連で富を築いた同世代の「ヒルズ族」も多く誕生。
関東連合OBらは夜の街で、こうした実業家らとも交友関係を築き上げ、凶暴性だけでなく人脈の面でも、ほかのグループと一線を画すようになった。
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石元容疑者らが現役の暴走族だった平成10年前後は、全国的に少年事件が凶悪化したピークの時期と重なる。
警察庁によると、12年に殺人や傷害致死などの容疑で逮捕された少年は201人で、うち7割で暴走族などが関係していた。
警視庁は関東連合のOBグループの存在は把握しつつも、「すでに暴走族としての実体がない」(捜査関係者)ため、組織としては事実上野放しにしてきた。
だが、海老蔵さん事件を機に本格的な実態解明に着手。
組織犯罪対策特別捜査隊に専従班を設けて、メンバー構成などの洗い出しを進めていた。
その結果、今回の襲撃事件でも実行犯の特定につながった。
「身元を確認しないまま集団で藤本亮介さんを殺害するなんて、普通じゃない。
少年時代を引きずったまま社会に野放しにされた彼らは、時代が生んだモンスターとしかいいようがない」。
警視庁関係者は、こうつぶやいた。
MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130111/crm13011121140030-n1.htm
因みに石元くんとは会ったことはございません。
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